GABAN®

レストラン ラフィナージュアイコン
東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A5 2F

1967年東京都生まれ。’89年に渡仏し、パリやサヴォワ等のレストランで経験を積み、’91年に帰国。赤坂「ル・ マエストロ ポール・ボキューズ トーキョー」で働き、日比谷「南部亭」、上野「ブラッスリー・レカン」、「銀座レカン」でシェフを務め、2018年に独立開業。

スパイスをしっかり煮詰めたフォンで、少量でも香りと味を凝縮したソースに。

この店は、これまで勤めていた「銀座レカン」のような重厚なグランメゾンではなく、気軽に食事が楽しめるガストロノミーレストランを目指したので、オープンキッチンにしてカウンター席を主体にしました。内装もグレーをベースに、オリーブグリーンと木目調を合わせて、緊張感がありながらもリラックスできる心地よい空間にしています。料理も、以前は主役とソースの比重を同程度にして重厚感のあるものを提供していましたが、独立後はソースを少なくして主素材がより引き立つようにしています。例えば、ソースはアルコールやスパイスをしっかり煮詰めたフォンをベースにすることで少量でも香りと味を凝縮したものに仕上げています。夜のコースはおまかせで10皿ほど提供しており、ボリュームはある程度つけていますが、重さを感じさせないようにしているので残される方はいませんね。

ジビエの扉を開いた、ひと皿のブーダンノワール

私はスパイスが好きでさまざまな料理に多用しています。料理人として働き始めた頃からギャバンのスパイスを使用しており、私の舌によくなじんでいるので欠かせません。他のブランドもいろいろ使用しましたが、ギャバンのスパイスはクセが強くなくマイルドで品が良いので、いろいろな食材と合わせやすく、なおかつ食材の味を引き立てられるところが気に入っています。ちなみに、スパイスの香りを嗅ぐ時は、鼻の息を止め、口で吸い込むと香りがわかりやすいですよ。

 特によく使うのは、ブラックペッパーやクミン、コリアンダーなどですね。昔はマスキング的な使い方をしていましたが、現代の食材は状態が良いので、スパイスの風味との相乗効果で食材をより美味しく仕上げる目的で使います。また、種類が豊富でおもしろい商品も多い。最近では高知県産・仁淀川山椒やスモークパプリカパウダーがおすすめです。高知県産・仁淀川山椒は青いレモンのような清々しい柑橘系の香りがとても良く、夏に桃のスープの香りづけとして使用しています。

マイルドで品が良いギャバンのスパイスは食材をより美味しく仕上げられる。

ギャバンのブラックペッパーは他のブランドと比べて辛味と香りのバランスが良く、上質ですね。香りをアクセントとして立たせたい時は、ホールあるいは砕いてミニョネットにしたものを使います。ミニョネットは、ホールを水から3回ブランシールし、サラダオイルで揚げたものを用意しています。砕いたままよりも辛味がおだやかでサクサクとした美味しさがあります。主に荒挽やグラウンドは香りをまんべんなくまとわせたい時に使用します。私が上野の「ブラッスリー・レカン」で料理長を務めていた頃は、毎日ランチで150人分、パテ・ド・カンパーニュ10本、ブラックペッパーをまぶした仔羊チョップ肉のロースト160本など仕込みが大量で、グラウンドや大荒を相当量使っていましたね。グラウンドを大量に使う時は420g缶が便利ですが、今は香りが新鮮なうちに使い切りたいので100g缶を使用しています。

 ブラックペッパーを使ったスペシャリテは、鹿や鴨のローストです。鹿肉のローストは、ブラックペッパー風味の合わせバターをのせて焼き、少量の赤ワインを添えた一品。昔のジビエは肉質が良くないものがあったので、赤ワインに漬けてから使用したり、ブラックペッパー風味の濃厚なソースをかけたりしましたが、今の時代はハンターの処理や流通事情が進化して良いものが入手できるので、従来と同様のやり方では鹿肉の味わいを生かせません。そこで、ブラックペッパーのソースを添えず、ブラックペッパーは合わせバターに入れて肉にのせて焼き、肉の味をクリアで風味良く仕上げています(レシピ参照)。鴨の料理は、古典料理のアピシウス風をアレンジして、オレンジの皮の千切りとブラックペッパーのミニョネット、ハチミツをぬって焼いた一品です。デザートにも使用しており、チョコレートとの組み合わせが特に好評ですね(レシピ参照)。